投資信託の予備知識
まずは、言葉の定義から確認しておきましょう。そもそも投資信託ってなに?ファンドと違うの?と疑問に思う方もいるでしょう。
投資信託ってなに?ファンドってなに?
じゃあ、いっしょに、チェックしましょう。
ファンド(Fund)を直訳すると、基金、資金とうい意味であり、投資信託以外の商品も含んだ投資信託より広い範囲の金融商品を示す言葉である。例えば、農産品、原油、貴金属等の商品先物取引は、投資家から資金を集めた基金(ファンド)を、前記商品に分散投資し、得た利益を投資家に還元する仕組みの金融商品で、商品ファンドという金融商品も含んでいる。
投資信託は、投資信託委託業者により管理監督運営されている金融商品を示し、投資家から集めた資金を一つにまとめた基金(つまりファンド)を委託業者が管理運用して得られた利益を投資家に還元する仕組みの金融商品のことです。
簡単に言えば、ファンドは、投資信託より広い範囲の金融商品を示しているということになります。または、基金を指して使用することもあります。
前記の通り、投資信託も、投資家から資金を集めた基金(ファンド)で投資信託委託業者によって、株式や債券や不動産等々へ分散投資し、利益を還元する金融商品です。それを図解すると、図1のようになります。
図1は、投資信託の仕組みとお金の流れをイメージ図
では、2020年の投資信託の数をご存知でしょうか。一般社団法人 投資信託協会によれば、2020年9月の時点での本数は、一般的に証券会社や銀行等で販売されている公募投信が5,972本、それ以外の私募投信(機関投資家などを対象としたもの、50人以下の少数の投資家を対象とした投資信託)が7,310本で、総計13,282本もの投資信託が存在しています。
ちなみに、一般社団法人 投資信託協会のウェブサイトには、統計資料や投資に関する情報が満載なので、かなり勉強になります。無料で投資の知識を学べるウェブマンガや、ガイドブック、かなり使いやすい投資信託の検索ライブラリーなどもあり、初心者投資家に役立ちそうです。気になる方はチェックしてみてください。
一般の個人投資家が投資できる公募投資信託が、約6,000本もある中で、常に人気ランキングで上位を占めるているのは、毎月決算型の投資ファンドですが、投資家に不利になる場合があり、トータルリターンがマイナスになる可能性もあるため、要注意です。
投資のプロが著した投資信託に関する著作物には、必ずといっていいほど、「毎月分配型ファンドは買ってはいけない。」と、同義の内容が記されています。その理由を明かします。
投資信託の分配金とはなんなのか
投資信託には、年一回の分配金が支払われるものや、毎月分配金が支払われるもの等がありますが、投資信託の分配金には、普通分配金と元本払戻金の二種類あります。株式投資で得られる配当金とは、異なるということを認識することが重要です。
普通分配金とは、運用によって得られた利益から出される分配金のことで、購入時の基準価額より資産額が増加し、その利益分から支払われる分配金のことです。株式投資の配当金のようなもの。
元本払戻金とは、元本を取り崩して支払われる分配金のことです。つまり、元本を減らしてまで、分配金を出しているということになります。当然、基準価額も下がってしまいます。ということは、「毎月分配金がもらえてお得だよね。」と思いきや、元本から差し引かれているだけで、まったく、お得どころか、損しているというこになりかねません。図2を参照してください。
当初、12,000円であった基準価額が、1か月運用後に(ファンドの構成により異なるが、株、債券、外貨利益、配当金などで)500円上昇し基準価額が12,500円になったとします。そこから、分配金を1,000円還付するとした場合、当然、500円しか利益がないところから、1,000円を捻出する訳ですから、元本から500円を取り崩して元本払戻金を出すことになります。
つまり、元本割れを起こしてしまいます。この点を間違わないように認識することが重要です。これを毎月繰り返すわけですから、運用利益が少なかった場合は、更に、元本が減少していくことになります。
分配金のイメージは、図2を参照してください。
*毎月分配型投資ファンドの分配金と元本の関係を表す図は、筆者作成
毎月分配型ファンドはやめた方がいい理由
毎月分配型ファンドが、全てダメか?というと、毎月の資金流入額が増加して基準価額も上昇しており、その利益から普通分配金が還元されているなら、まだ問題はありませんが、複利効果が目減りするだけで、積立投資で資産を増やすという意味では得策ではないでしょう。基準価額が下がっており、純資産総額が減少している毎月分配型ファンドの場合は、要注意です。
最低限、毎月のファンドへの資金流入が増加しているか?基準価額が減少してないか?をチェックすることは実施すべきです。
毎月分配金を得られたとしても、基準価額が下がり、結果としてトータルリターンが減り、最悪元本割れもあり得ます。では、なぜこのようなファンドがランキングでトップを占めているのでしょうか。
それは、上記のような分配金の仕組みがあまり周知されていないことから、目先の利益に囚われてトータルリターンの観点から見る、ということが、なされてないからと言えるでしょう。
または、分配金を配当金と同じように捉えていると考えられます。それをいいことに、数え切れないほどの、毎月分配型ファンドが無数に存在しているのです。
売れるから、新たに毎月分配型ファンドが生まれてくる。販売側からすれば、このような金融商品が売れて利益が得られれば良いのですから、敢えて不利益な情報を投資家に説明することもないでしょう。
投資する側が、ランキングが上位だからとか、毎月小遣い代わりの分配金がもらえるから、ではなく、本来、資産を増やすために投資するという観点からすると、毎月分配型ファンドを選択するのではなく、年一回分配型で自動再投資するファンドの方が、確実に資産を増やせるということを認識しましょう。
長期投資に適しているファンドとは
では、長期投資に適しているファンドとはどういうファンドでしょうか。その条件は、ずばりこれ。
上記の条件*1で、モーニングスター社のウェブサイトで投資信託をスクリーニングした結果が下表です。これは、あくまでも、2020年11月時点でのスクリーニング(絞込検索)結果であることをご了承の上、投資判断は自己責任においてお願いします。
モーニングスター社のウェブサイトでは、詳細な条件を設定してスクリーニングが可能であり、かなり有用であると思われますので、参考にする価値ありです。
表の表示順位は、順不同である。
注記.*1:投資期間が無期限の条件設定が不可のため→20年以上で検索
では、逆に、長期投資に適さないファンドを見分けるためには、上記の条件を満たさないものですが、特に注目したい条件が、純資産額です。資金が流出し続けている、かつ、純資産額が、30億円以下に減少しているファンドは注意してください。
そのようなファンドは、近い将来に繰り上げ償還するリスクが高いため、元本割れの可能性があります。これらのファンドに投資しないように、モーニングスターウェブサイトや、日経電子版等のファンドのスクリーニング機能を利用して条件に合うファンドを絞り込むことは、非常に重要なことです。
まとめ
ファンド:投資信託以外の商品も含んだ投資信託より広い範囲の金融商品を示す言葉である。 *分配金とは:普通分配金と元本払戻金の二種類ある。 *普通分配金とは、運用によって得られた利益から出される分配金のこと。 *元本払戻金とは、元本を取り崩して支払われる分配金のこと。 *毎月分配型ファンドは、やめた方がいい →年一回分配型で自動再投資するファンドの方が、確実に資産を増やせる。 *スクリーニング機能を利用して条件に合うファンドを絞り込むことは、非常に重要
長期投資に適しているファンドとは
- 分配金は年一回で、分配金を自動で再投資可能
- 投資期間が無期限
- 手数料などのコストができる限り少ない
- 資金流入が持続的にあり、純資産額が増加している
- 基準価額が持続的に増加している
- 資産分散型である(投資資産、投資地域など)
*資金流出が継続し、純資産額が30億円以下になっているファンドには注意が必要
最後までお読みいただき、ありがとうございました。では、SEE YOU!!
にほんブログ村
コメント